肺炎球菌ワクチンの問題点と当院の対応について
毎年寒くなると病院では肺炎で入院する患者さんが増えてまいります。高齢の方は肺炎が治っても足腰が衰えて寝たきりになったり、認知症が進んだり、心筋梗塞や脳梗塞を発症することも多いです。
肺炎球菌は市中感染(日常でかかる肺炎)の原因の第1位、肺炎による死亡の約98%が65歳以上なので、高齢者へのワクチン接種が推奨されています。
ただし予防接種法で決められた定期接種(行政が費用の一部を負担)は、65歳の時の1回限りなので、それ以外は役所からの通知はありません。任意接種(自費)になります。
わが国で65歳の定期接種で使用されているワクチンはPPSV23(23価ポリサッカライドワクチン・ニューモバックスNP)というお薬です。40年前にアメリカで発売されましたが、日本で定期接種が始まったのはそれから30年遅れの2014年でした。
PPSV23は免疫の持続が5年程度と短く、免疫を維持するためには任意接種(自費)で5年ごとに追加接種する必要があるのです。現在70歳以上の方に対する行政の対策はありません(独自に助成を行っている自治体もありますが、春日部市はなし)。また肺炎球菌には80種以上の血清型があるのですが、PPSV23はそのうち23種の血清型しかカバーしておりません。
そこでPCV(結合型ワクチン)の出番となります。PCVはわが国では小児の定期接種でも用いられている安全性の証明されたワクチンです。
PCVは免疫が長期に持続するので、通常は生涯に1度の接種で済みます。またPPSV23がカバーしていない血清型にも効果があり、PPSV23の作用を増強するブースター効果も証明されています。ですから当院ではPCV→PPSV23連続接種を基本方針としております。
PCVは7価→13価(プレベナー13、供給停止)→15価(バクニュバンス、2023年発売)→20価(プレベナー20、2024年9月発売)→21価(現在申請中、未発売)と年々改良が進んでおり、当院では接種時点で最適のワクチンをおすすめしております。
ワクチンのご予約はネット・お電話から可能です(*^^*)